
NTT(ドコモ)のWeb3事業を巡り、SNSでは「コンサル会社のアクセンチュアが誤った指導をした」という批判が渦巻いています。6000億円という巨額投資の行方に注目が集まる中、2026年2月には推進子会社「NTTデジタル」が吸収合併されるなど、大きな転換点を迎えています。
しかし、この事態を単なる「コンサル選びの失敗」と切り捨てて良いのでしょうか。別の角度から見れば、これは日本企業全体が抱える「新しいものを作れない構造的病巣」が浮き彫りになった事案とも言えます。今回は、批判の裏側にある「3つの異なる視点」からこの問題を掘り下げます。
視点1:コンサルは「道具」でしかない。丸投げの責任はどこにあるのか
アクセンチュアが批判の矢面に立っていますが、コンサルティングの本質は「クライアントの意志を形にすること」です。
■ 意志なき巨額投資の危うさ 「Web3が流行っているから6000億円投じる」という大枠の号令が先にあり、中身をコンサルに依存してしまったのであれば、それは「発注者側のビジョン欠如」と言わざるを得ません。
■ 稟議を通すための「完璧なスライド」 大企業では、不確実な挑戦であっても完璧な事業計画書が求められます。コンサルはその要望に応え、稟議を通すための「綺麗な理論」を構築します。この「社内政治のための仕事」が、現場の実装力を削いでいた可能性はないでしょうか。
視点2:これは「失敗」ではなく「インフラへのピボット」ではないか
現在起きている組織再編を、単なる敗北宣言と捉えるのは早計かもしれません。
■ 国内BtoCからグローバルBtoBへの転換 吸収合併先の「NTTドコモ・グローバル」は、分散型IDやブロックチェーンの「社会実装・インフラ化」を掲げています。一般ユーザー向けの派手なサービスではなく、通信キャリアとして得意な「インフラ構築」へと舵を切ったと見ることもできます。
■ グローバル基準への適応 日本国内の閉鎖的な市場でWeb3を完結させるのではなく、欧米の規制や技術標準に合わせるための再編であれば、この「失敗」は未来への必要経費だったと評価が変わる可能性があります。
視点3:Web3の「分散」と大企業の「集中」は、水と油だった
そもそも、中央集権の頂点に立つNTTが、分散型を理念とするWeb3に取り組むこと自体がパラドックス(逆説)です。
■ 管理したい企業 vs 自由を求める技術 Web3の魅力は、誰にも管理されない自由な経済圏にあります。しかし、大企業はコンプライアンスやガバナンスの名の下に、すべてを管理・把握しようとします。この思想的な矛盾を、コンサルの力だけで埋めるのは不可能でした。
■ 「責任者」が必要な組織の限界 誰が責任を取るのかを明確にする大企業のシステムでは、コミュニティが自律的に動くWeb3のスピードについていけません。この「OSの不一致」こそが、今回の停滞の正体ではないでしょうか。
結びに:私たちがこのニュースから受け取るべき教訓
「アクセンチュアが悪い」「NTTが迷走している」と笑うのは簡単です。しかし、私たちが学ぶべきは、「新しい概念(Web3)を、古い組織の仕組み(大規模コンサルと重厚な意思決定)で解こうとしても、摩擦熱で予算が溶けるだけ」という冷徹な事実です。
本当のイノベーションには、外部の助言だけでなく、組織自体の「OSの書き換え」が必要だったのかもしれません。
皆さんは、大企業がコンサルに頼りすぎる現状をどう思いますか?




